ビットコインは、日本時間18日の日中から深夜にかけて大きく上昇したが、9万ドルを目前に大きな売り圧力にさらされ再度急落し、一時は8万5,000ドルを割り込んだ。非常に不安定な相場環境が続く中、オンチェーン活動からは「悲観相場のピーク」を示す動きが複数確認されている。
暗号資産(仮想通貨)アナリストのSykodelic氏は19日、自身のXにて「現在の市場は行き過ぎた悲観状態にある」と指摘した。
現在市場は引き続き恐怖とパニックに支配されているが、Sykodelic氏は「絶望感のピーク」こそが、環境が好転する兆候の一つだと強調する。
その根拠として挙げるのは、FRB(米連邦準備制度理事会)の「ネット流動性」が、2022年に発生した弱気相場の底値形成時と同水準で下げ止まったという点だ。これ以上流動性が減少すれば、金融システムの機能そのものに支障を来すため、今回もこの水準で下げ止まる可能性が高いとSykodelic氏は分析している。
さらに、量的引き締め(QT)が事実上終わると同時に水面下で量的緩和(QE)が始まり、ネット流動性は上向きに転じている。一方で、過去3年ほど流動性はレンジ内で推移し、実質的な成長は乏しかったとも指摘。結果的に、直近4ヶ月は流動性低下とともにビットコインが弱含んできた。
だからこそ、流動性が底打ちして反転する展開になれば、相場環境は時間差を伴いつつも改善に向かう可能性が高いとし、「最悪の状況は耐え抜いた。今日の悲観に飲まれるな」と投資家に訴えかけている。
オンチェーン分析企業、クリプトクオントのアナリストであるDarkfost氏は19日、自身のXにて「ビットコインマイナーが明確なプレッシャーにさらされている」と指摘した。
その状況を端的に示しているのが、Mining Pulse(マイニング・パルス)指標だ。この指標は、各ブロックが生成されるまでの時間を測定し、想定される10分間隔より速いのか、遅いのかをもとに、マイニング環境の健全性を示す。
足元では、ブロック生成間隔が増加しており、マイニング・パルスはマイナス圏で停滞。マイニングの難易度上昇により、資本力の弱いマイニングプールや個人マイナーが稼働停止に追い込まれやすい環境だ。小規模マイナーは運転コストを賄うためにビットコインを売却せざるを得ないため、短期的には市場への売り圧力が強まりやすい局面と言える。
とはいえ、この状況が必ずしも悲観的な展開を示唆しているわけではない。過去のデータを見ると、マイナーのストレスが拡大し、ハッシュレートが低下する局面が、相場の底打ち形成と重なることが多いからだ。
今後、難易度が調整されれば再びマイニングが容易になり、収益性が回復する。そうなれば、マイナーはブロック報酬でコストを賄えるようになるため、ビットコインを売却する必要性も縮小していくはずだ。
現時点ではマイニング・パルスは依然としてネガティブだが、この指標が回復を始めた時は「相場環境好転に向けたポジティブなサインの一つとして、前向きに捉えるべきだ」とDarkfost氏は投資家に呼びかけた。
連日乱高下が続く不安定な相場環境だが、このような値動きはトレンド転換前に頻繁に発生しやすい兆候の一つでもある。流動性やマイニング・パルスなど、複数の観点から悲観相場のピークを示唆するデータも出ていることから、底値形成に期待したいところだ。

